初めてのイタリア
先週私は、留学して初めて、小さな国際コンクールに挑戦してみた。
南イタリアの、ブラチリアーノという、電車の駅もない、山をいくつか越えたところの街のコンクールを探し出した。
ここからが大変だった。
まず数人のイタリア人の友人に、ブラチリアーノという街は知っているかと聞いたところ、全員知らないという。
1番近くの町の駅、サルノという場所も知らないという。
近くのリゾート地、サレルノは知られていたが、一体どう行ったら良いものか…?
そしてコンクール事務局からは、開催まで1週間を切った段階で、何の音沙汰もない。
私の申し込み書や送金が受理されたかどうかすら分からないのだ。
果たして飛行機のチケットを予約しようかどうしようか、着いてから練習はできるのか、できないのか……。
何度メールしても返事を得られず、電話したところ、1度目は英語で話したせいか、名乗る前に電話を切られる。
傷つきながらも、再び電話したところ、完全なイタリア語訛りで「ファッツァップ!」と連呼される。
あぁ、WhatsAppで連絡したら良いのか、と私の頭が理解するかしないかの一瞬のうちに、また電話を切られる。ちなみに、WhatsAppとは主に欧米で使われているLINEのようなアプリのことである。
その後、有難いことにWhatsAppには一瞬で返事をいただくことができ(この時点で出発前日)、ようやく自分の演奏する時間を知り、慌てて行き方を調べ上げ、飛行機やバスを予約する。
あまりにも知らない遠い街の、あやふやな手続きのコンクールだったこともあり、もしかして国際コンクールを装った詐欺なのでは? という疑心暗鬼に陥る中、それでも行ってみたいという気持ちが勝り、会場近くのホテルを予約する。
翌早朝に出発。
不安3割、好奇心7割だった。
初めて見るイタリアの空は、小さい頃に母に連れられて見た、展覧会でのフレスコ画と全く同じ空の色で、デジャヴ(既視感)を感じた。
なお、私の使っているドイツのプリペイドSIMカード、O2は、特に手続きも設定もなく、イタリアで何も問題なく使えた。
なんとグローバルな、便利な時代になったのかと感じる。
ローマ フィウミチーノ空港から、レオネッティという名前のバスで5時間も揺られ、空が完全に暗くなった頃、ようやく終点ブラチリアーノが近づく。
しかしバス停の場所からホテルまで、どう行ったら良いのか分からない。
暗くなった見知らぬ南イタリアの町を歩き回るのはとても怖い。
そこで、バスの運転手さんに、「このホテルに行きたいのですが、バス停からどう行ったら良いですか?」と英語で聞く。
しかし英語が全く通じない。
日本にいた頃、友人に誘われて、ほとんど乗り気がしないまま1年間イタリア語の授業を取ったことがある。
しかし、これがこの時どれほど役に立ったか! ……今となっては本当に感謝である。
身振り手振り、住所、片言のイタリア語、山奥の電波の遅いGoogle翻訳を交えながら、ようやく意思疎通したところ、
運転手さんが突然バスを急停車し、対向車に向かって何かを叫び始める。
「私のアミーゴが、あなたをホテルに連れて行ってくれる」
アミーゴは、びっくりするほどのイケメンであった。
筆者は、一緒に記念写真を撮ってもらえばよかったと少なからず後悔している。
南イタリアの人は、明るくとても親切だと聞いていたが、本当に親切だった。
こうして私は、無事に人生初のイタリアに辿り着き、ホテルに到着できたのである。
ちなみに、ホテルの場所は、Vea Resortという場所。
お部屋も清潔で、古いイタリアの落ち着いた町の雰囲気があり、送迎の車は1回10ユーロかかるが、コンクール会場までの行き帰りにとても柔軟に対応してくださった。とても親切だった。
着いた日のお夕飯は、とても美味しかった。
以下は参考までに。
メルカート サン セヴェリーノの方面、または、サレルノ、ナポリ方面へ行く方法は、
①レオネッティバス (22ユーロ)
長距離バス。トイレ休憩はある時とない時があるので、出発前にトイレ必須。ネット予約。現在(2019年5月時点)Paypalからの事前振込は10%安かった。
②ナポリ空港からは電車の便が悪すぎるので、マイタクシーというタクシーのアプリ(安全性が高い)を使う。
しかし目的地によっては100€超えと高額ではある。
③目的地によっては、FlixBus
これはドイツにもあって、安く頻繁に利用されているバス。だいたい多かれ少なかれ遅延するが、とにかく安い。
この3つが、私からは推奨できる。
つづく…